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2020年04月09日

スキーヤー金子あゆみ・春原優衣インタビュー
「技術選って、イメージと違うよ。」前編

基礎スキーで最も大きな大会である全日本スキー技術選手権大会で、20代前半から活躍してきた、金子あゆみ選手と春原優衣選手に、第57回の技術選が中止になってしまった今の率直な気持ちや、技術選の今と昔、今後の目標を伺いました。
(写真左:春原優衣選手 右:金子あゆみ選手)(ライター|デサント編集部、カメラマン|矢田部裕)※インタビューは2020年3月3日に実施しました。

技術選は中止になってしまいましたが、今の率直な思いを聞かせてください。

金子:やっぱり滑りたかったなっていうのはありますね。しょうがないですけど。

春原: 1年に1回の大会なので、去年の全日本が終わってから今年の大会に向けてみんなそれぞれ調整してきて、違う技術も練習してきてるから、なくなるっていうのはやっぱり大きいですよね。

もし今年も全日本があったら、どんな意気込みで臨もうと思っていましたか?

春原:みんな優勝を目指してたんじゃないですかね。私の目標も優勝。それと自分のベストの滑りをすること。応援してくれているお客さんたちに迫力のある滑りを見せたいなと思って、いつも大会に挑んでます。

去年と比べて今年変えてきたことはありますか?

春原:(武田)竜さんが出てきたことによって、去年は技術の方向性が競技的な要素に変わっていって、どういう滑りをしたらいいのかわからなくて、自分の中で迷走していた一年だったんです。でも今年はそういうことは考えずに、自分らしさである長身を最大限生かしていこうと思っていました。

八方を滑る春原優衣選手
春原選手は身長162cmで、トップ選手の中では長身が際立つ。

金子選手の意気込みは?

金子:みんな一緒ですよね。私も優勝狙って取り組んでました。意識してたのは、すの(春原選手)と被るところもあるんだけど、点数の出る滑りがレーシング寄りになってカービングとかをみんな練習してきてはいるけど、結局は自分らしさがないとダメだなって去年気付いて。

自分が納得できる「自分のいい滑り」の質を高める。今更新しいことって言われても私はできないと思うし、自分らしさで今までやってきたから、それは消さなくてもいいんじゃないかなって。自分の良さは残しつつ、精度を上げる。失敗しないとか体の向きを整えるとか。その照準をいかに大会に定められるかを意識して調整してきてました。

八方を滑る金子あゆみ選手
金子選手は身長151cmと小柄ながらも、力強い滑りを見せる。

最近の滑りのトレンドを教えてください。

金子:武田竜。竜さんは何しても点数出る。ああいう波に乗りたいなって思いますよね。

春原:スキーの動きが、ずば抜けて違う。張り付き感っていうか。すごく楽に滑ってるように見えるんだけど、でも乗っている位置がすごくいいからスキーが走ってる感じも見える。

八方を滑る武田竜選手
武田竜選手は2019年の第56回全日本スキー技術選手権大会の男子の優勝選手。

印象に残っている過去の大会はありますか?

金子:私は、大会2週間前に捻挫して、直前は全然練習できないまま大会に出たけど、いい滑りができて2番だった時かな。苦しかったシーズンだから、よく覚えています。

春原:私は、2番になった、初めて表彰台に乗った年はやっぱり印象に残ってるけど、でもそこを見てると勝てないから。次に進まないとね。

春原優衣選手
当時の春原選手

春原:その頃は、あゆみの方が先に大会出てたし、あゆみみたいになりたいなって思ってて。前の年の順位も11番くらいだったんですよ。だからプレッシャーのない中で、淡々と自分のしたい滑りをして、その2番になれました。その時の気持ちに戻りたいです、あの時はスキーを純粋に楽しんでたので(笑)。

金子:あの頃は2番でも嬉しかったけど、今は2番じゃ嫌じゃん。優勝しないと喜べないよね。

今までの大会で、アクシデントや珍エピソード、大転倒などあれば教えてください。

春原:ないかも、意外と多分順調にきてるかな。

金子:珍エピソードはないけど、私はほぼ転んでると思う(笑)最近は減ってきたけど、一時は2分の1くらいの確率で転んでた(笑)。

大会中、ライバル選手同士、意識したりピリピリしたりしますか?

八方のウサギ平テラス屋上でインタビューを受ける春原優衣選手と金子あゆみ選手

金子:意識はしますね。でも今より昔の方が点数追って一種目ごとに一喜一憂してたかな。

春原:多分みんな自分が一番うまいと思ってると思います。点数見て、「なんで今負けたんだろう」とか「私の方がうまいじゃん」みたいな、そういう気持ちはそれぞれ持ってる(笑)。

金子:トップ選手のレベルはみんな変わらないですからね。

春原:「私の方が良かったでしょ」とか、そのくらい強気ではいる(笑)。

今後活躍しそうな、注目している選手がいれば教えてください。

金子:北海道の大場優希(おおばゆうき)ちゃんかな。でも若手って言ってももう30歳か。

春原:年齢私たちとあんまり変わんないよね。デモもやってるから歴も長いよね。

金子:本当に強い若手が出て来たら辞めるかも。技術選で今まで1回も年下に負けたことないんですよ。唯一負けそうになったのは優希ちゃんだったと思う。負けなかったけど(笑)。

春原:負けたくないよね。負けないで終わりたいよね。

金子:ね。負けるぎりぎりで辞めたくて途中棄権するかも(笑)。でもまだ大丈夫かな(笑)。

ストックは伸縮できるものを使っていますか?それぞれ何cmにしていますか?

春原:私は変えてます。ロングが105cmで、ショートが100cmにしてます、コブも大体そのくらい。結構雪質とかその時の調子によって変えてます、101cmの時もあるし。

金子:すごい、敏感だね(笑)。私はコブに合わせてて、ロングも変えてないです。95cmくらい。ロングあんまりストック使わないしいいかなって。漕ぐときだけ、空漕ぎしないように気を付けてます。

八方のコブ斜面を滑る春原優衣選手。
八方のコブ斜面を滑る金子あゆみ選手。
コブの撮影で、躍動感のある滑りを見せてくれた両選手。赤いウェアが春原選手、イエロー×ネイビーのウェアが金子選手。

こんな種目があったら面白いのに、という種目はありますか?

金子:ウェーブは復活してもいいかなと思いますね。昔結構あったじゃないですか、名木山とかでも。

春原:何だろうなあ、年々いろんな種目が出てくるから対応するのが大変で(笑)。

金子:韓国で出た大会に2人同時に滑ってくる種目があったんですけど、採点の基準がちょっとわかりづらかったので、そこにショートポールとか立てたら面白いかなと思うけど、そうするとまた武田竜の時代が来るから(笑)。でもお客さんは喜ぶんじゃないかなと思う。そこでターンの質も見たりして。観客にとって採点基準が分かりやすいものがいいと思います。

金子選手と春原選手のインタビューは後編に続きます!

金子選手・春原選手着用のスキーウェアはこちら

<プロフィール>

金子あゆみ
奥只見丸山スキークラブ
1987年12月22日生まれ

2019年 全日本スキー技術選手権大会女子総合 2位
SAJナショナルデモンストレーター

YOUTUBEチャンネル

<プロフィール>

春原優衣
小賀坂スキークラブ
1987年9月8日生まれ

2019年 全日本スキー技術選手権大会女子総合 3位
SAJナショナルデモンストレーター

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