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2019年06月13日

ランシューはNG!
女性トレイルランナー岩村聖華さんのトレランシューズの選び方

2019年5月19日に行われたトレランの大会、第4回 ひろしま恐羅漢(おそらかん)トレイルのミドルコース(22km)で優勝したinov-8アスリートの岩村聖華さん。実は、名門実業団チームでマラソンをしていた過去もあるんです。ランニングのプロである岩村さんに、トレランでは普通のランニングシューズではなくトレランシューズを履くべき理由と、その選び方について語っていただきました。

トレランを始めたきっかけ:「陸の次は山で勝負!」

岩村さんがトレランを始めたきっかけはなんだったのですか?

私は学生時代から陸上(長距離)を始め、大学を卒業後はマラソンの名門実業団チームに所属していました。実業団選手として十年間活動しましたが、晩年はケガに悩まされマラソンを走る状態に戻れず、泣く泣く一線を退く決意をしました。

そんな時に大学の同期から声を掛けられたんです。「陸の次は山で勝負しよう!君なら世界を狙える!」って(笑)。その言葉に一瞬で食いついてしまいました。

私はもともとクロスカントリーや起伏があるコースを走るのが得意だった上、実業団選手としての集大成のレースが出来なかったことにものすごく悔いがありました。トレイルはロードやトラックと比べ、路面は柔らかく、スピードも落ちる傾向にあるので足へのダメージが少ない。これだったら、故障なく対応できて、一戦で戦えるかもしれない。それに、自然に全身が強化されて本来の走りが戻るかもしれないと。声を掛けてくれた同期は大学卒業後、まさにinov-8というトレイルランニングのブランドに携わっており、私はあれよあれよという間にトレイルを始めることになりました。

普通のランニングとの違い:ドキドキとワクワクが味わえる

マラソンから転向して、トレランと普通のランニングは違いましたか?トレランならではの良さや魅力があれば教えてください。

これは実際にやってみて感じましたが、トレイルランと普通のランニングは全くの別物です。舗装された道を淡々と走るのとは違い、トレイルは自然のど真ん中なので、登りや下りが多いのはもちろん、岩場やガレ場、ぬかるみ・・色んな場所を通過します。

トレイルランを始めた当初は「え、こんなところ走るの?」とかなりの衝撃を受けました。変化が多くて、この先に何があるのだろう?と飽きることがありません。それに、山を登り切った先に見える景色が雄大で、レースのキツさが吹き飛ぶくらい感動するんです。こんなドキドキとワクワク、普通のランニングでは味わえません。

トレランシューズを履くべき理由:グリップ力とクッション性

トレランは、通常のランニングシューズで走ってはいけないのでしょうか?トレランシューズとランニングシューズの違いはなんでしょうか?

初めて練習で山へ行った時、普通のランニングシューズで走ってみたのですが、アップダウンを繰り返すうちに、地面からの突き上げで足がすぐに疲れてしまった上、下りは滑って思うように走れず、ショックでした。

その後、改めてトレランシューズを着用して臨んだら、足の疲れ方も下りのグリップ力も全く違う!シューズ一つでこんなに変わるのかと楽しくスイスイ走れました。

ランニングシューズはスピード重視で軽量な分、全体的に薄い作りで足への衝撃も大きいのですが、トレランシューズはソールもアッパーも丈夫に作られていて、突き上げや滑りなどから足を守ってくれるイメージを持っていただければと思います。

シューズ選びのこだわり

ポイント:安心感とフィット感

岩村さんが大切にしているシューズ選びの際のこだわりを教えてください。

私がシューズを選ぶ際に一番重要視しているのはフィット感です。なので、必ず試着して決めます。私は足幅が広めなので、同じサイズでも幅が合わないシューズが多々あるのですが、初めてInov-8のシューズ(X-CLAW275)に足入れをした時、言葉では表現しきれない程の安心感とフィット感がありました。

それは、前足部で進む走行を想定し、素足で走るのと同様に足を機能させる「ナチュラルラン」をコンセプトにシューズが作成されていることも関係していると思います。

サイズ感:ぴったり目のシューズの悲劇・・・

トレランシューズのサイズ感はピッタリめと大きめ、どちらを選ぶべきでしょうか?

ランニングシューズは割とピッタリめを選びますが、トレランシューズではほんの少し大きめでつま先にゆとりがあるものを選んでいます。なぜなら、トレイルは起伏が多く、下り坂でつま先に負担がかかりやすい上、弱冠ゆとりがある方が不整地での踏ん張りが効くと感じるからです。一度、ピッタリめのシューズで走ったら、見事にマメが出来て、足の爪が死んでしまったこともあります。

レベルに応じた選び方:初心者はクッション性or軽量性?

トレランは、レベルによって履くシューズは変わりますか?初心者向け、上級者向けはどんなシューズなのでしょうか。

まず、初心者の方はソールが厚くクッション性が高いシューズを選ぶと良いでしょう。舗装されたロードとは違い、岩や石、木の根がある中を走るわけですから、踏んでもいたくない、足を保護する機能に優れたシューズがおすすめです。

一方、クッションを重視したシューズは重量が重くなるので、上級者でスピードを重視したランナーはクッション性は適度でソールが薄く軽量性に優れたものを選ぶ傾向にあると思います。

岩村さんはどんなシューズを履いているの?

1足ではだめ?シューズはレースによって使い分ける!

トレランは、山の中を走るため、コースも様々だと思いますが、レースによって使い分けるために何足かシューズを持っていたりするのでしょうか?

はい。数足準備しています。inov-8は目的に応じて洗練されたシューズの種類も豊富なので、私はあらかじめレースコースの特徴を頭に入れて、持っているシューズの中からその日のレースに適した一足を選ぶようにしています。

恐羅漢で履いたのはイチオシの一足

先日優勝された恐羅漢トレイルで履かれたTERRAULTRA G 260の感想を教えてください。

とっても走りやすくてびっくりしました。恐羅漢トレイルのコースはロード、林道、沢、岩場、山頂付近のぬかるみなど、内容盛りだくさんだったのですが、その全てにしっかり対応できました。

まず、前半のロードを走ってみて、適度な反発力で自然に足が前に出る感覚があり、リズムに乗れました。衝撃吸収性やグリップ力も抜群なお陰で足も最後まで元気な状態。苦手な下りも攻めることができ、とても楽しく走れました。岩村イチオシの一足です。


さらに、TERRAULTRA G 260には「グラフェン」という素材が使われているのですよね。実際に履いてみて感じることはありますか。

TERRAULTRA G 260のソールにも使用されている、グラフェンは2010年にノーベル物理化学賞を受賞している素材です。鉄の200倍の強度がありながら、曲げ伸ばしが可能な夢の素材で、inov-8は世界で初めてスポーツシューズのアウトソールラバーに搭載することに成功しました。

私はキックが強い走り方なので通常のシューズだとソールがすぐ擦り減ってしまうのですが、グラフェン搭載のTERRAULTRA G 260は100km以上走った今もまだまだ元気。さすがです。



他のシューズとの比較:特徴と使い分けとは


他にもinov-8のシューズを履かれていますが、それぞれどのようなシューズですか。

ここで、比較対象としてinov-8の代表的なシューズ、TRAILTALON 235 WMSX-TALON ULTRA 260 WMSを挙げます。まず、TRAILTALON 235 WMSは走りに重点をおいたシューズでロードや林道の多いコースでの使用に適しています。グリップは地面をグッとつかむのではなく、引っ掻くイメージ。固い路面や下りにおいても足に優しい走り心地で、トレイルシューズに慣れていない初心者の方にもおすすめです。

X-TALON ULTRA 260 WMSはハイグリップ、ハイクッションの一足。ぬかるみにおいて強いグリップ性を発揮し、アッパーは厚めで強度と通気性があり、やわらかい路面が多いロングレースに向いています。

岩村さんにとってズバリ、トレランとは:人生と体作りの基盤

岩村さんにとってトレランとはズバリどのような存在でしょうか?

私にとってトレランとは人生の土台作りであり、自分自身を豊かにしてくれるものです。自然と向き合うことで、今まで見えていなかった景色と同時に自身の一面に気付かされてハッとします。また、実業団時代のハードなトレーニングにより、バラバラに崩れた心と体を作りなおす手段となり、人生と体作りの基盤となりました。

今後の目標:マラソンで果たせなかった夢へ


今回、恐羅漢で優勝されましたが、今後の更なる目標はなんですか?

今後の一番の目標は日本代表となって世界の舞台でトレイルを駆け抜けることです。昨シーズンは代表まであと一歩届かず、力不足を感じました。マラソンで果たせなかった日本代表となる夢を果たし、完全燃焼する覚悟です。そのためにはまだまだ技術(特に下り)を磨かないと・・・ですね。

これからトレランを始める女性へ:トレランは山ガールの延長。構えず楽しもう!

女性トレイルランナーはまだまだ少ないそうですが、トレランを始めたいと思っている女性の方へ一言お願いします。

一昔前から「山ガール」が流行っていますが、トレランはその延長線で、ファッショナブルに自然を満喫しながら楽しんで走ったり歩いたりするものとして、構えずに取り組んでいただければと思います。

トレイルランナーはノリが良くて仲間意識が強い方が多いので、きっと素敵な出会いも多く待ち受けているでしょう。

淡々と走り続けるランニングとは一味も二味も違い、どんな味がするのかは始めてみてのお楽しみですが、きっとハマること間違いなしです。

ありがとうございました!


岩村聖華さんは2019年6月29日(土)に行われる「inov-8 cup第9回美ヶ原トレイルラン」に出場します。履かれるシューズはイチオシの一足と語っていた「TERRAULTRA G 260」。応援よろしくお願いします!

岩村さん着用のinov-8アイテム

<プロフィール>

岩村聖華

トレイル及びマラソンランナー。
1984年生まれ、熊本県出身。熊本市立千原台高校時に全国高校駅伝、国民体育大会3000mで上位入賞、卒業後は城西大学に進み、関東インカレ5000m優勝、全日本大学女子選抜駅伝では2区区間新記録達成など功績を残す。社会人ではダイハツ陸上競技部で主将を務めながら、マラソン、駅伝で活躍。2017 年に実業団生活を終え、現在は地域スポーツの活性化に尽力しながら、トレイルラン及び市民マラソンの舞台で走り続けている。

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