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2019年10月10日

日本山岳耐久レース・ハセツネCUP優勝への挑戦!
~トレイル・マウンテンランナー 奥山 聡 ~

今年で27回目をむかえる「日本山岳耐久レース・長谷川恒男CUP(ハセツネCUP)」。

日本屈指の山岳レースは山を歩き走る多くの人達を虜にしてきた。
長谷川恒男CUP(通称:ハセツネCUP)は、71.5km、累積標高4,582m、平均傾斜6.4%という過酷なコース設定は出場する誰もが苦しく鍛錬なくしては乗り切ることができない山岳レースだ。そして制限時間24時間の中で一人一人にドラマが生まれる舞台でもある。

Team inov-8の奥山選手もこのレースの虜になった一人だ。初参戦は2013年で3位と入賞を果たし、その後2016年まで続けて出場。その後2年のブランクを経て今年3年振りにこの舞台に戻ってくる。

今の奥山選手が気になり秋へと季節移ろいはじめた仙台に彼を訪ねてみることにした。

丁度この日は自宅近くで開催された仙台泉ヶ岳トレイルラン・27kmの部に出場していた奥山選手は、他の選手を一度も寄せ付けず圧倒的な速さで優勝。

しかし、その成績にも決して満足せず、自己の走りを振り返っている姿は真面目な性格の表れだろう。そんな奥山選手に、ハセツネに向けての今の心境を聞いてみた。

開口一番に「仕上がりは順調ですよ」「2014年の第22回大会で記録した自己ベスト7時間22分02秒を越えられると思います!」と力強い言葉で返される。

その言葉からハセツネに向けて並々ならぬトレーニングを積んでいるのではないか?と推測できるのだが「日頃はどんなトレーニングをしているのだろう…」と気になり、その一部分を伺った。

公務員として働く中で、朝と昼の2回のトレーニングを日々欠かさないそうだ。

特に今重視しているのが体幹トレーニングで「背筋・腹筋・腰などを重点的に鍛えると走りが強くなり安定するんですよ」と自分を鼓舞するように言う。これは以前の勤務地の陸上部に在籍していた時に学んだことらしい。

そう言われてみると奥山選手の走りには無駄な動きを感じない。また、重心が安定しているからこそどんな悪路にも対応できるバランス感覚には素晴らしいものがある。そして小柄なのに遠くからみても走っている姿が大きく見えるのは不思議なことではなく、強く安定した走りからなのだろう。

またこんなことも話してくれた。「暑さ対策」「登りと下りの強化」「補給対策」なども入念にしてきていて、自分ができることは全てにおいて一切手を抜かず、何度もトレーニングをして一つ一つ積み重ねることが大切だとも奥山選手は言う。走る人の中には「なかなか毎日のトレーニングができないんだよね~」と思う人もいるかもしれない。でも奥山選手は自らに課したトレーニングを楽しみながら黙々と一人で進めている。

質実剛健な奥山選手だが、普段はとても優しく愛情に満ち溢れた2児の父親でもある。子供達との時間をとても大切にしているお父さんランナーは、週末の朝まだ家族が寝静まる明け方4時頃から自宅側のホームマウンテン泉ヶ岳へ走りに行く。そして、子供達が起き出す7時前にはきっちり帰ってくる。

限られた時間を最大限有効に使ってトレーニングをする姿勢は、自身が決めた家族への配慮であろう。奥山選手にとって何よりも子供達が一番であり、走ることを理解してくれる奥さんのバックアップがあってこそ充実したトレーニングができていると心に留めている。

ギアのことも聞いてみた。愛用しているinov-8のシューズの中で今一番気に入っているのは「MUDCLAW G 260」。

どんな悪路でも地面を鋭く掴むグリップと足に吸い付くような感覚、そして奥山選手のスタイルでもあるステップを踏むように一歩一歩確実に走って行く登りや、地面を流れるように降りて行く下りにも、このシューズは十分過ぎるほど応えてくれている。アウトソールに採用された最新素材グラフェン※ も期待通りで、ハセツネ前に何度も泉ヶ岳で履いてテストしてきたMUDCLAW G 260は「もはや自分の身体の一部になっている」と言う。

グラフェン:鉄の200倍の強度がありながら曲げ伸ばし、折り畳みが可能で「地球上で最も薄い物質」とされているノーベル賞受賞素材。グリップ力と耐久性を両立させる。

着用ウェアは今年の秋冬モデルのレースシャツを着用。パンツも今シーズンから新登場したレースパンツをチョイス。 ハセツネでは必携品であるレインウェアは軽量でコンパクトに収納できるULTRA SHELL PROをバックパックに入れて本番に挑む予定だ。

ここまでくれば準備万端に見える奥山選手だがまだ何か足りないことがあるのだろうか?

少し間をおいてから一言「最後は心技体であることです」とキッパリ答えた。

この言葉の根源はどこからくるのか。それは、過去4回ハセツネを走る過程の中で培ってきた自分の軸となる幹でもあり、トレイルランニングと出会った7年前からコツコツと積み上げてきた一つの答えだろう。

2016年の第24回ハセツネCUP完走直後の奥山選手。

そして「第22回大会に記録した自身の最高記録を超えたい」と言う。自分を超えるのは自分であり、誰とでもなく自分との闘いでもある。まさにハセツネイズムが詰まっている奥山選手。

「心技体」で挑む今年のハセツネにまったく不安はない。

2016年の第24回ハセツネCUPのイノヴェイトブースでTeam inov-8の仲間たちと。左から北原選手、菊嶋選手、奥山選手、牛田選手、北島選手。この大会は北原、菊嶋、奥山チームで初優勝を果たした。

もし彼がフィニッシュゲートに辿り着く最初のランナーであるとするなら、それは紛れもなく過去の自分を超えた奥山選手なのであろう。

※今年の日本山岳耐久レース・ハセツネCUPは10月13日(日)13時に五日市中学校をスタート。約2,500人のランナーが奥多摩の山々を駆け抜ける。

今大会の楽しみはもう一つある。
それは、Team inov-8の3名が挑むチーム優勝も狙えることだ。
チーム戦は写真左側から奥山 聡選手、菊嶋 啓選手、井上 隆詞選手の3名の合計タイムで競い合う。

個人戦とチーム戦、見逃せない戦いがハセツネにはある。

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<プロフィール>

奥山 聡(おくやま・さとし)
マウンテンランナー

トレイル&マウンテンランナー
1984年 山形県出身。
幼い頃から戦車が大好きで、戦車乗りに憧れ高校卒業後、自衛隊に入隊を決意。
現在は夢を叶えて宮城県多賀城市に位置する多賀城駐屯地で勤務しながらTeam inov-8として数々のトレイル大会に出場し活躍している。

2019年 8月 仙台泉ヶ岳トレイルラン 27k 優勝
2019年 6月 inov-8 cup美ヶ原トレイルラン 80k 優勝
2019年 5月 櫛形ウインドトレイル 31k 優勝
2019年 3月 ハセツネ 30k 4位

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