第5回:メンバーがDELTA PRO RACEとともに「自己ベスト」を目指す!

2023.01.27

4ヶ月でフルマラソン自己ベスト更新を目指す「デサントランニングプロジェクト」。昨年9月に始まったこの挑戦は、去る12月末、プロジェクトのメンバー(デルタランニングクルー)が目標としていたマラソン大会に出場。記録更新をかけて42.195kmを走りました。

はたしてどんな結果が出たのでしょうか。4ヶ月間、プロジェクトをサポートし続けてきたランナー向けトレーニングジム「「RUNNING SCIENCE LAB(以下、RSLAB)」とともに、この挑戦を振り返ります。

さらにプロジェクトでは、メンバー全員がデサントの新厚底シューズ「DELTA PRO RACE」を履いて記録に挑戦。“相棒”を務めたこのシューズについても、改めて感触を聞いてみました。

自信を持った走りで、自己ベストを5分短縮!

昨夏の終わり、自己ベストに挑戦する4名のデルタランニングクルーと、RSLABのスタッフが初めて顔を合わせて以来、クルーのメンバーは忙しい仕事の合間を縫いながら、RSLABの提示するメニューを日々こなしてきました。

そうして迎えた4ヶ月後の12月29日、それぞれの「記録を賭けた戦い」に挑んだのです。

全員が思い思いの調整を行って臨んだフルマラソン。レース前から「しっかり体を絞れてきた」と笑顔を見せていたのは、西川晋作さんでした。「サクッと自己ベストを更新します」と言い切った彼は、その言葉通りに自らの記録を破ったのです。

■西川晋作さん

プロジェクト前ベスト3時間12分12秒→今回のタイム3時間7分7秒

ハーフ通過では2時間55分も視野に入るほど快調なペースで進めた西川さん。「中盤まではジョグのような感覚で行けました」と振り返ります。25km以降はペースも落ちましたが、「後半で厳しくなるのは4ヶ月のトレーニングでわかっていたので、その中でいかにベストを出すかに集中していました」とのこと。きつくなってからの粘りこそが「このプロジェクトの成果でした」と話します。

確かな自信とともに、最後まで凛々しく走り抜けての記録更新。4ヶ月間履き続けたDELTA PRO RACEも、その記録を後押ししたとのこと。

「僕は足を入れたときの自由度の高さでシューズを選ぶのですが、DELTA PRO RACEは最初から自由度が高くてクセがなかったですね。だからこそ、今日も後半で疲れても崩れなかったんだと思います。クセのあるシューズだと、フォームの乱れが大きく影響しますから」

爽やかな充実感に満たされる中で、西川さんに改めてこの4ヶ月を振り返ってもらいました。

「1日1日の積み重ねという意識で、日々の練習を大切にしてきました。レースが終わったら自分が何を感じるか、それを楽しみにしてきましたが、いざ終わると自分の足りない部分ばかり見えてきますね(笑)。いまはもう、次に向けてどう改善したらいいか考えています」

そんな話をした後、「次に出る大阪のマラソンでも、DELTA PRO RACEを履いてサクッと自己ベストを出したいですね」と笑顔で言います。

彼を見守り続けてきたRSLABの林貴裕さんは、「今回の結果はストイックにコツコツとやってきた努力の賜物だと思います」と称えます。

ちなみに、デルタランニングクルーの中では西川さんが最年少。「先輩に負けないよう、毎回気合を入れていました」と漏らします。明るい性格が印象的な彼ですが、「マラソンは1人で練習することが多く、塞ぎがちになりやすいもの。今回はみんなで同じ目的を持ってやれたので、楽しくできました」と回顧していました。

ブランクに打ち勝った理由は、メンバーから走る楽しさを教わったこと

続いて、自己ベストを達成したのは阪本奈々さん。ブランクが長く、フルマラソンもなんと5年ぶりでしたが、見事に記録を更新しました。

■阪本奈々さん

プロジェクト前ベスト3時間24分30秒→今回のタイム3時間15分19秒

プロジェクトが始まったとき、1km5分のペースで10km走るのもギリギリだったという阪本さん。ブランクの長さを痛感する日々でしたが、そんな彼女をここまで頑張らせたのは、一緒に走るクルーの姿でした。

「実業団の頃は、走ることが仕事に近くて。でも今回の仲間は、自分の仕事のかたわらで、趣味で走っている人ばかり。最初は『どうしてそこまで一生懸命走れるんだろう』と思ったこともありました。ただ、4ヶ月間みんなと頑張る中で、すごく楽しく、励みになったんですよね。そこから自分の考えも変わってきて、走ることが面白くなりました」

レースでは、阪本さんが事前に話していた通り、20km過ぎからペースが落ちる展開に。しかしそこでガクッと行かず、向かい風の地点は堪えて、追い風で加速することを意識。それが自己ベストにつながりました。

シューズについては、阪本さんは紐をきつく締めると足に疲れが来やすいため、今回も緩い状態で出場。それでもDELTA PRO RACEは、「フィット感が良く安定していました」とのこと。きつく締めなかった分、「足の疲労も最小限で済んだ」といいます。

「本当はこの大会でマラソンは終わりにしようと思っていたんですが、もったいないのでこのまま体を作り直して、3月の佐賀のマラソンに出たいと思います」

RSLABの杉山虹さんは、自身も競技引退から8年経っていることをふまえ、「体を作り直す大変さがわかるので、今回の頑張りは本当に素晴らしいと思います」と拍手。続けて、阪本さんにこんな期待を口にします。

「個人的には、女性の方でランニングの技術や経験を伝える人物がもっと増えてほしいと思っているので、ぜひ阪本さんの経験をたくさんの方に話す機会も作ってもらえたらうれしいですね」

予想外の飛び出し。「過去イチ楽しいレース展開でした」

今回、自己ベスト更新はならずとも、“らしい”走りを見せてくれたのは清水綾乃さん。

■清水綾乃さん

プロジェクト前ベスト3時間45分59秒→今回のタイム3時間59分04秒

今回の大会は、自分の希望するタイムに合わせてペーサーの後ろにつくのですが、清水さんはスタートから数kmでそのペーサーを追い抜き、自分でレースを作る形に。飛ばす展開となりました。

後半ではさすがにペースが落ちてしまい、一時は1km7分台と厳しい状況に。しかし最後は1km5分台に戻す粘りを見せました。ここまで巻き返せたのは「プロジェクトのおかげ」と清水さんは振り返ります。

「RSLABで提示された練習メニューが1km5分30秒だったんですよね。そのタイムで走っていたのが自信になって、最後もう一度ペースを戻せたのかなと。序盤に飛び出したことで、結果的には後半落ちてしまったけど、過去イチ楽しいレース展開でした」

そんな清水さんのレース展開について、林さんはこう振り返ります。

「飛び出したことでタフな展開になってしまいましたが、その形を選んだ清水さんは、本当に楽しく走っていたと思います。心の赴くままに走るのが清水さんらしさだし、その姿を見ることで、きっとマラソンをやっていない人も親近感が湧くはず。それも今回の挑戦の価値ですよね」
彼女も3月には名古屋でフルマラソンの大会に出場する予定。らしさ全開の走りを今後も見せてくれるはずです。

DELTA PRO RACEについては、「私のようなサブフォーのランナーが使えるカーボンシューズは貴重」と清水さん。足の内側に疲労がたまりやすいタイプですが、「かかとがしっかりフィットして安定感があるので、いつもより足への負担が少なく感じます」とのこと。「それでいてカーボンの推進力がありますね」といいます。

かつてない厳しい状況。それでも最後まで走り切れた理由

レースを終えた後、4人のランニングクルーの中でもっとも悔しそうな表情を見せていたのは松下孝洋さんでした。

■松下孝洋さん

プロジェクト前ベスト2時間52分00秒→今回のタイム3時間00分18秒

松下さんは1km 4分ペースの快調な走りを見せていましたが、落とし穴は30kmすぎ。疲れからスピードが上がらず、「過去にないくらい厳しい状況でした」と振り返ります。

最後の数kmは外から見ていても満身創痍の状態。自己ベストは厳しいことも早い段階でわかりました。「途中で何度もあきらめそうになった」と振り返ります。

それでも最後まで走り切れた理由はどこにあったのか。レース後に林さんがたずねると、松下さんはこう答えました。

「今日のレースは周回コースだったので、1周走ると、みんなが応援してくれるゾーンに戻ってきます。その応援を聞くたびに『今日はやめちゃいけない日だな』と。記録が出なくても、絶対に完走したいという気持ちでしたね」

4人の中でもリーダー的存在だった松下さんは、この4ヶ月を「大人の部活感があって最高に楽しかった」といいます。

「マラソンという共通言語を持って、同じ目標に向かっていけたのは大きな財産です。だから、本当はめちゃくちゃ悔しいんですけど、それ以上にみんなが良い走りをしたうれしさがありあますね。感謝しかないですし、いまはみんなを称えて、家に帰ったら1人で泣きます(笑)」

走りを見守った林さんも「苦しい中でゴールまで走った姿には記録以上の価値があったと思います。僕もその姿勢に学ばせていただきました」と気持ちを口にしました。

松下さんにもDELTA PRO RACEの感触を聞くと、以前話したように、「疲れるとヒールストライク走法になりやすいのですが、それでもブレずに走れるカーボンシューズはいいですね」とのこと。その点は今日も感じたようです。「ランニング仲間からもこのシューズについて聞かれることが多かったので、もっと多くの人が履ける機会があれば」と言います。

RSLABからマラソン後のケアについてアドバイス

うれしさと悔しさがありながら、4人はすでに“次”を見据えていることも伝わってきました。そこでRSLABからは、フルマラソン後のケア方法が説明されました。

「休むのは大切ですが、できればウォーキングや軽いジョグなど、体を動かしながらケアしてください。疲労物質が体にたまっているので、それを流すのが大切。固まっている筋肉を動かす意味もあります」(林さん)

「マラソンは同じ動作を繰り返すスポーツなので、特定箇所の筋肉に疲れがたまります。だからこそ、他の動きを取り入れたアクティブレストが有効。ヨガなども効果があります」(杉山さん)

ニューモデル登場。DELTA PRO RACEも次のステージへ

次に向けて動き出しているのは、4人のクルーだけではありません。DELTA PRO RACEも同じです。今回履いたのは第1弾モデルですが、2023年前半には、このモデルのアップデート版も登場。トップ選手だけでなく、市民ランナーが履きやすいカーボンシューズを目指して、改良を続けていきます。

また、カーボンの入っていないDELTAモデルも投入し、より幅広いラインナップでランナーを支えていきます。

4ヶ月に渡ったこのプロジェクトは区切りを迎えましたが、決して物語がすべて終わったわけではありません。メンバー1人1人のマラソン人生、そしてDELTA PRO RACEの進化は、まだまだ続いていきます。ぜひメンバーとシューズの“これから”を、楽しみに見守ってください。

文/有井太郎
撮影/関健作

DELTA RUNNING CREW

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